噛み合わせのズレが及ぼす悪影響|気づかないうちに身体をむしばむ「小さなズレ」

私たちは普段、“噛み合わせ”を意識することはほとんどありません。しかし、食事や会話などでも1日に上下の歯は何度も接触しており、そのたびに全身へ小さな力が伝わっています。

そのため、噛み合わせがわずかにズレるだけでも、歯・顎・筋肉・姿勢・自律神経にまで影響が及び、思いもよらない不調の原因になることがあります。

本記事では、噛み合わせのズレが引き起こす悪影響と、早めに歯科医院で確認したいポイントを詳しくご紹介します。

噛み合わせは上下の歯が接触する状態のこと

噛み合わせとは、上下の歯が接触する状態を指し、単に歯並びだけでなく、顎関節や筋肉も含めた口腔全体のバランスが重要です。良いかみ合わせとは、顎関節、筋肉、歯、歯槽骨の全てが健全に機能できる状態のことです。歯並びが歯の見た目であるのに対し、噛み合わせは上下の歯が噛み合う機能的な状態を指し、両者は異なります。

噛み合わせのズレが引き起こす主な悪影響

① 歯そのものへのダメージ

噛み合わせが悪いと、特定の歯に負担が集中します。その結果、歯が欠けやすくなったり、詰め物や被せ物が割れやすくなってしまいます。特に“片側だけで噛む癖”がある方は、知らないうちに歯が悲鳴をあげているケースが多いです。

② 顎関節への負担増加(顎関節症)

顎関節症は噛み合わせの不具合が主な原因で、顎関節に過剰な負担がかかることで起こります。負担が蓄積することで、顎関節の痛みや、口を開閉する際のクリック音、口が開きにくくなるなどの症状が現れます。進行すると、口が大きく開けられない状態になることもあります。

③ 頭痛・肩こり・首こり

噛む筋肉(咬筋・側頭筋)は、首や肩の筋肉と連動して働きます。そのため噛み合わせが乱れると筋バランスが崩れ、緊張型頭痛・慢性肩こり・首こりにつながることがあります。歯の問題とは気付かず、整骨院に通い続けている人も少なくありません。

④ 姿勢の歪み(ストレートネック・猫背)

姿勢と噛み合わせは相互に影響し合っており、一方の不調がもう一方の原因となることがあります。噛み合わせの不調を補おうとして、全身の筋肉のバランスが崩れ、背骨の歪みや猫背に繋がることがあります。

⑤ 睡眠の質の低下(歯ぎしり・食いしばり)

噛み合わせが悪いと、あごの筋肉や関節に負担がかかり、首や肩の筋肉が緊張します。この緊張状態が続くことで、自律神経が乱れ、リラックスできず寝つきが悪くなったり、浅い眠りが続いたりします。睡眠の質は免疫機能や自律神経に直結するため、長期的には体調不良の原因にもなり得ます。

⑥ 消化への悪影響

噛み合わせが悪いと、食べ物がよく噛めず、胃腸への負担が増えます。「早食い・丸飲み」が増えると、消化不良や栄養吸収の低下にもつながるため、健康全体に影響するケースもあります。

噛み合わせがズレる主な原因とは?

代表的な原因としては以下が挙げられます。

  • 虫歯・歯周病による歯の欠損
  • 詰め物・被せ物の高さのズレ
  • 歯ぎしり・食いしばり
  • 親知らずの圧迫
  • 片側だけで噛むクセ
  • 姿勢の悪さ
  • 生まれつきの噛み合わせの不調和

特に“癖”は無意識で繰り返されるため、自分では気づきにくく、知らず知らずのうちに噛み合わせのズレを悪化させてしまいます。

噛み合わせがズレているかも?「セルフチェック方法

自分の噛み合わせが正しいかどうかは、割り箸を使って調べることができます。 一膳割り箸を準備して、下記の1〜3の手順でチェックをしてみてください。

  1. 割り箸の中央を噛む。
  2. そのままの状態で鏡を見る。 
  3. 割り箸が水平であれば噛み合わせは正常、傾きがあれば異常です。

割り箸チェックで異常がみられた場合は、噛み合わせのずれや顎の歪みの可能性があります。もし問題が見つかった場合は、自己判断で矯正せずに、専門知識を持つ歯科医院で治療を受けることが重要です。

歯科医院でできる噛み合わせの改善アプローチ

◆噛み合わせ検査(咬合診査)

顎の動き、歯の接触ポイント、咬合力のバランス、歯のすり減りの状態を確認し、ズレの原因を総合的に分析します。

◆マウスピースによる保護

噛み合わせが強く当たっている部分だけではなく、全体に力が均等にかかるように調整するためのマウスピースを作成します。

◆ 詰め物・被せ物の調整

高さや形が合わない場合は微調整を行い、噛み合わせを安定させます。

◆ 歯列矯正による根本的な改善

前歯や奥歯の位置が大きくずれている場合は、矯正治療を検討します。特にマウスピース矯正は、歯を動かすだけでなく噛み合わせの安定にも役立つケースがあります。

噛み合わせは「小さな違和感を放置しないこと」が重要

噛み合わせの問題は、初期では痛みが少なく“気付きにくい”ことが最大の特徴です。行動心理学の観点では、人は痛みが強くなるまで行動しない傾向があります。しかし、噛み合わせのズレは放置すると、下記の状態へと連鎖的に広がっていきます。

  • 歯の破損
  • 顎の痛み
  • 頭痛・肩こり
  • 姿勢の歪み
  • 睡眠障害

「なんとなく気になる…」という段階で相談することが、最も効率的で負担が少ない改善への近道です。

まとめ|噛み合わせは“全身の調子”をつくる土台

噛み合わせは、歯だけの問題ではありません。
身体のバランス、集中力、睡眠、姿勢、メンタルの安定にまで影響する“健康の基盤”です。

少しでも気になる症状がある場合は、早めの歯科受診をおすすめします。
定期検診や噛み合わせチェックは、将来の歯のトラブルや体調不良を未然に防ぐ大切な一歩になります。

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記事監修 Dr.多賀 俊仁

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